海外商標・外国商標雑感

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help RSS 海外・外国商標雑感(世界のブランド=アジア編1)

<<   作成日時 : 2009/01/02 13:53   >>

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=アジア編(1)=

■目次■
01:北朝鮮>
02:韓国>
03:台湾>
04:香港>
05:マカオ>
06:中国>
07:シンガポール>

<以下、「アジア編(2)へ>
08::マレーシア>
09:タイ>
10:ベトナム>
11:ミャンマー>
12:カンボジア>
13:フィリピン>
14:インドネシア>
15:インド>
16:オプショナルツアー>
(以上です)




01【北朝鮮】
えっ、アジア編の最初に北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)?と思われる方も多いかと思いますが、テポドンは知っていても、そもそも北朝鮮に商標法なんかあって登録できるのかいな?と思うでしょう。それがあるんですよね。

意外と、北朝鮮はパリ条約、PCT、マドリッド協定、プロトコールなんか知財保護の国際条約にはまめに加入しているんですね。現地事務所の近い筋からの話では、国際社会の一員であるアピール、援助が欲しくて表面上加盟したり批准したりしているそうな。なお、20数年前、現地事務所とコレポンした記憶があり、その事務所のレターヘッドがあるのでFAXしたのですが不通でした。USTAのメンバーの事務所もありますが、あなたが日本人である限り、NGOなどで金銭的援助でもしない限り現地事務所との接触は無理とのこと

さて、一応商標法はありますので、概略説明しておきます。なお、施行規則や施行令はありません。
1.加盟条約:パリ条約(1980)、マドリッド協定(1980)、マドプロ(1996)
2.出願人適格:パリ条約加盟国の国民、相互条約国の国民
3.審査:有実体審査(識別性、先後願審査)、局通知に対しては意見書、拒絶査定にはアピール可能。但し、異議申立制度はなし。
4.登録までの期間:約6ヶ月
5.その他:譲渡・ライセンス登録可能
7.不使用取消:5年
(もう少し詳細な情報については下記のメルアドからお求め下さい)

現在、中国、ロシア、南米の限られた国しか登録できないようですが、日本人(?)でも可能という現地事務所→総連系法律事務所からの情報です(マドプロ経由ではありません)。別段、ある業界で億単位で送金している在日でもないとのこと。確認中。OKなら試しに登録してみます。乞うご期待。まあ、商品経済制度ではないようですから有効性は保障できないでしょうけど。

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02【韓国】
アニョンハセヨ!北朝鮮の下のお隣の韓国でも、北朝鮮で登録できないんですよ。彼らは北朝鮮商標についての情報は沢山持っていまけどねぇ。

さて、韓国と言えば、数年前までアジア圏では特異な制度を持っている国として取り扱い注意マークでした。韓ドラ(韓国ドラマ)の世界では、日本のパクリが多いので有名ですが、知財の世界でも、かなりのパクリありでした。我々日本人にとっては好都合なことですけどね。遡ること約30年、当時全盛を誇る「中央国際法律特許事務所」所長の李丙庚弁護士が我が事務所に来て、当時の「商標審査基準」の冊子をくれ、というのでお渡ししたところ、後日送られてきた「韓国版審査基準」は日本語をハングルに置き換えただけのものでした(例も同じ)。ということは、我々にとって韓国出願の審査基準が我が審査基準と同じということでかなりの恩恵をこうむったことでした。現在も若干異なりますが殆ど同じと考えてよろしいと思います。

ですから、いわゆる「短冊」(今の「類似群コード」)もパクリでしたが、但しやっかいなのが、指定商品の総数が10ヶ以内で公費同一料金で、それ以上は1ヶにつきUS$7公費がかかりました。ですから、日本式に各短冊から1ヶづつ選び総計10商品にしたものです。この制度は直近の法改正で、「指定商品は10ヶ以内」の原則は撤廃され、いくつでもよくなりました。また、具体的商品の記載は変わらなかったものが、最近の情報では「なるべく広い記載」を認める方向にあるということです。より登録し易くなりました。いい傾向です。ですから、日本法との違いだけを覚えておけばいいわけです。

なお、ちなみに、韓国商標法・施行規則、商品・役務基準は各事務所から英文・日文いずれも無料で頒布されていますので、お手元に一冊置かれてはいかがでしょうか。事務所がわからなければ下記のメルアドからお知らせください。各事務所で無料で商品・役務審査基準が入手できます。

さて、韓国は日本のパクリだと大雑把に考えてよろしいのですが、日本にはない独自の法制度として代表的には以下のような制度がありますのでご注意下さい。
1.追加指定商品・役務追加制度
出願又は登録済みの指定商品・役務に同類であれば追加手数料を納付すれば、出願時あるいは登録時以降必要なった商品・役務を追加することができます。便利ですね。
2.先後願違反事由の改正(7条)
出願したはいいが、出願時に先出願・登録があるために本願商標を登録できないという理不尽な理由で拒絶されたご経験はないですか?正直、頭にきませんか?商標とは何か?発明・意匠等の新規性の判断基準日と間違っていない?と思われた方は多数いらっしゃると思います。そもそも、商標の性格を知れば、類否判断の基準時は「査定時」であって「出願時」ではないことは明白です。商標は同一のものを何度でも出願できます。新規性が問題にならないからであります。多分の外圧のため、この悪性基準は緩和され、査定時に先出願・登録の名義人が同一になれば(要するに、買取すれば)日本法4条1項11号は適用しませんよ、というまで緩和されました。それ以前は長い間全て「出願時に同一又は類似の先行商標がある」という理由で有無を言わせず拒絶でした。あと、一押しです。外圧でこの悪法を撤廃させましょう!(他国で成功した例があります!!)

でも、韓国は何と言っても輸入国トップだし、進出日本企業も1000社以上ですので、商標登録は必須ですね。さて、問題は「ハングル」をどうするか?です。ご存知のように、音表文字ですから正確な称呼ではないです。しかし、英語商標しか現地で使用しないならば、ハングル文字の同一又は類似の商標は拒絶されますので、実際使用する英語(日本語)商標の登録で十分と思います。

あとは日本法とほとんど同じです。おおいにパクって


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03【台湾】
台湾ほど面白い制度があった国はアジア圏いや世界中でないでしょう。まず、商標の条文数が70条くらいなのに、類(区分)数が107!(100以降は役務)。ですから。洋服、ネクタイ、靴下、マフラー等被服に属するような商品が旧旧第44類を中心にばらけて分類されており、結局被服関係で出願するとなると、一出願一区分ですので5,6件の出願を余儀なくされました。出願公費かせぎかなぁと勘ぐってしまいましたよ。WTO加盟目標を立てた1990年申請以降は法改正が続き、この類(区分)数も類似商品は同じ区分に統合され、結局国際分類採用に至りました。

また、日本では1992年にサービスマーク制度が導入しましたが、台湾ではそれより20年も前にサービスマーク制度がありました。しかし、不思議なのは「サービスマーク(役務商標)」という語は商標法のどこにも規定されていないのです。「商標」を全て「サービスマーク(役務商標)」と読み替えて何の不思議も無く登録していたものです。

さて、記憶に残る特異な制度のいくつかを紹介します。苦労しましたが面白かったですね。特異な制度がゆえに、クライアントがわからないことを熟知し制度を駆使するのは楽しかったですね:
1.連合商標制度:
  発祥の英国の制度とは異なり、まず「正(親)商標」の存在が必要です。この親商標に類似する子商標が連合商標となり、親を囲んだ放射状の類似ではなく、親を出発とする鎖状の連合となります。特徴的なのは、「親がこけると子・孫もこける」という付随性を有することです。しかし、この制度は思いがけない有用性があり、例えば「A」という商標を出願して「A’」で引用拒絶された場合、自己の既登録「AA」に連合にすると、あたかも本意匠の類似範囲確認の如く、連合に引っ張られ登録できるということです。よく利用させてもらいました。

2.防護商標制度:
  ここでも「正(親)商標」の存在が必要ですが、その著名性は全く関係ないのが特徴です。連合が商標の類似ならば、台湾の防護は商品の類似と言えます。100近い区分には類似する商品がばらけて存在しますので、同一商標を性質が類似する商品が属する区分に登録することができます。この場合、どの区分を親とするかによって、防護として出願できる区分数が変わってきます。「機械」を中心としたとき、最高で14区分防護で登録した経験があります。この類似区分ブロックがあちことにありますので、旨く利用すればある程度の数の防護登録でまとめることが出来ました。勿論、連合も防護もそのうち1つ使用していれば不使用取消は免れることができます。

3.更新時等の連合・防護の付随性の廃止:
長い間、標準局=特許庁の審査官も、プロもクライアントも何の疑いもなく、「親がこけると子・孫もこける」というプラクティスを信じてきました。ですから、更新時には、古くて使用していない親商標も子商標も一緒に更新しなければならなかったのです。しかし、ある時その旨規定している条文をつらつら読むと「正商標が無効、取消しされた場合には連合・防護商標は取消される」と規定されているではありませんか。ということは、正商標に無効・取消し事由がなく、権利者の自発的取下げや放棄の場合には、この規定は適用されないのではないか。早速、現地ブランチオフィスの弁護士を連れて標準局商標部を訪れ条文解釈上プラクティスが誤りであることを説得しました。成功しました。その後、更新時には古くなった親商標を放棄し、次の商標を親商標とするプラクティスになり、その後更に通常時でも親商標を放棄することができるようになりました。このように、矛盾点を指摘し他国のプラクティスを変えさせることが出来るのもこの仕事の醍醐味でしょう

4.技術援助契約の登録:
  商標を他者に使用させるには、商標使用許諾の規定が設けられた技術援助契約を当時の亜東関係協会で認証して、標準局で登録しないと、「無断授権」として登録自体が取消される制度でした。今は、当然ライセンスの登録不要が世界的趨勢ですからこの規定もなくなりました。ただただ、面倒だったことが記憶にあります。但し、日本の親会社と現地子会社間では無断授権で商標を使用していたのが実情でしたが。

さて、台湾商標法の特異な面はまだあるのですが、現在に目を向けますと、まず気がつくのは、パリ条約やPCT加盟国ではないということです。マドプロ加盟はもう少しですかね。念願のWTOには2002年1月1日に加盟を果たしたのですが。WTO加盟後の2003年に商標法は大改正を行い現行法になりました。主だった改正は以下の通りです:
1) 商標の定義拡大
2) 出願手続きの緩和-出願時の「使用意思宣誓書」が不要
3) 立体商標、音声商標も登録可能
4) 商標使用の定義を改正-インターネット上の使用
5) 出願時の多区分性の導入
6) 分割制度の導入
7) 付与後異議制度の採用
8) 連合・防護制度の廃止
9) 更新時の実体審査を廃止
10) 不使用取消時の請求人適格(利害関係)の廃止

経済から見ますと、輸入第一位が日本で、電子管、半導体、写真機器等が主たる産品ですから、その分野では商標の登録は必須でしょう。逆に、日本への輸出は第3位で、電子管、半導体、データ処理機器、事務用機器、魚、通信機器等がありますので、それらの商標は日本で登録しておくべきでしょう。

出願の際の指定商品・役務は具体的に(いわゆるクラスヘッディングは不可)、審査は実体審査(識別性、先行願判断)されます。拒絶に対しては訴願が可能。拒絶査定に対しては再訴願が可能。商標で争えるのは、行政法院(行政裁判所)までです。あとは現在昔のような特異な制度はないです。

20年前は、台湾といえば「偽物」でした。経済部査禁防冒小組への刑事摘発依頼が懐かしい。経済発展に反比例して模倣事件は少なくなるというお手本ですね。でもまだ油断できん。中国深仙で身代わり立てて偽物作りに精を出しているとか、、、。


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04【香港】
1997年7月1日に英国から中国に返還された正式名称「香港特別行政区」。「香港特別行政区基本法」により外交と国防を除く高度の自治権を有します。

商標制度については、他の資本主義経済と同じく50年間現行制度を維持。よく質問があるのが「中国の商標法は及びますか?」ですが及びません。別制度です。後述するよう互いの登録が役に立つことはあります。

日本は輸入国第2位で、電子管、半導体、通信機器、事務用機器、船舶構造体等で1,000社以上の日本企業が進出しているので商標登録は必須でしょう。

旧法で面白い制度と言えば、「Official Search」(登録官による調査)があります。出願前先行調査は選択により公費を払って登録官にやって貰えますが、もし登録可能性ありとの結果の場合、3ヶ月以内に出願すると調査時が出願時になるという優先的な扱いを受ける制度がありました。この制度を利用した経験がある方は少ないのでは。数年この恩恵を受けましたが、いつしかやらなくなりました。一度現地事務所へ確認したところ、廃止された訳ではなくやっていないだけとのこと。復活すればいいのに。でも、それで後日職権引用されたなんてことになると香港特許庁の面子がたたなくなりますね。出願件数も増えたし止めたのは登録官調査の信頼性の問題でしょうね。

香港は、アジアのいくつかの国と同じく英国植民地でしたから英法系の国(*1)です。いまでも憲法である「基本法」は「英法系のコモンロー(慣習法)(*2)が今後も効力を維持する」旨明記しています。皆さん今までに「英法系」や「コモンロー」の言葉は聞いたことがあると思うのですが、正確に定義付けできますか?この際ちゃんと勉強しておきましょう。余りそういう機会がないですから。

*1「英法系」:対する概念は「大陸法系」です。ローマ法が代表です。それは後に譲るとして、英法系の特徴は、大陸法と異なり抽象的な法理論よりも具体的事案に適合する妥当な法律的解決を重要視するということです。具体的事件の解決に当たっては、当該事件と同様又は類似の事件についての先例を探し直接当てはまればそれに従い、ない場合には類似の事件についての先例から類推によって結論を出す方法を採ります(帰納的な法的思考解決方法です。米国ロースクールで分厚いケースブックで嫌と言うほど徹底的に教わりました!)。大英帝国時各地に植民地を有していましたが、その場合故国イギリス法を携え殖民とする原則をとしました(征服・割譲の場合は既存の法律によりました)。これらの植民地は独立後でも英連邦又は英連合を組織し(ウェストミンスター条令)次のような国が構成国(British Commonwealth countries)とされています(その後脱退している国もあります)。覚える必要はないですから
カナダ、オーストラリア、ニュー・ジーランド、インド、スリ・ランカ、ガーナ、キプロス、ナイジェリア、シェラ・レオネ、サモア、ジャマイカ、トリニダッド・トバゴ、ウガンダ、マレーシア、ケニア、タンザニア、マラウィ、マルタ、ザンビア、ガンビア、シンガポール、ガイアナ、ボツワナ、レソト、バルバドス、モーリシャス、スワジランド、トンガ、フィジー、バングラデッシュ、バハマ、グレナダ、パプア・ニューギニア、セーシェル、ソロモン諸島、ドミニカ、セント・ルシア、キリバス、ジンバブエ、バヌアツ、ベリーズ、アンチグア・バーブーダ、セントクリストファー・ネービス、ブルネイ;準構成国としてはナウル、ツバル、セントビンセント、モルジブ等があります(これらの国のいくつかは「英国確認登録」と関係ありますので、その国のテーマの時にまた書きます)。

*2「コモンロー(慣習法)」:対するのは「大陸法」でローマ法が代表。「ローマは三度世界を征服した。最初は武力(ローマ軍)で、次は宗教(キリスト教)で、最後は法律(ローマ法=大陸法)で」と言われますが(フランスは+1があるんですよね。これについてはフランスのときにお話しますね。傑作ですよ)イギリスだけはローマ法の承継が拒否されました。というのも、当時イギリスは中央集権国家体制をとり、司法についても国王裁判所(King’s bench)の権限を拡張し国王裁判所の裁判官を地方に巡回させ裁判を行い、それらの裁判を通じて各地に行われていたゲルマンの慣習法を統一して全国に共通なコモンロー(普通法)を作り上げていったのです。こうして、大陸法適用可能なドイツ等と異なり、イギリスはローマ法(大陸法)の侵略を受けずに済んだのです。私の前の事務所も香港ブランチがありましたのでよく研修に行かされましたが、英国判例を勉強させられたのが記憶に残っています。こういう事情だったからですね(今頃になって!)。

さて、目を現在に向けますと、2000年に成立しましたがその施行が遅れていた改正商標法が2003年4月4日から施行されました。主な改正点は以下の通りです。
1) 商標定義の拡大:音響商標や芳香商標も視覚的に表現できる商標の範囲に含まれます。
2) A部登録・B部登録(*3)の廃止:寂しい限りですな。便利だったのに。過去のA・B部登録は単一の登録原簿に移記されます。
3) 連合商標の廃止:英国が1994年に廃止していますので、世界の趨勢ですね。デメリットの移転の付随性が問題ですから。
4) 一出願多区分制度の採用。これもTRTの要請による世界的趨勢です。クライアントにとってウェルカムです。
5) 存続期間は、英法系の7年+14年ではなく、出願日から一律10年となります。これも世界の趨勢です。商標管理が簡便になりウェルカムですね。
6) 権利不要求の廃止(*4):A・B部登録の廃止と関係あります。これも登録官の判断で要求されるもので腑に落ちない点もありましたが、結局、需要者にとってある登録商標のどの部分が権利不要求になっているのかわからないので廃止も致し方ないです。ところで、日本も明治時代「権利不要求」制度があったんですよ。
7) 「同意制度」(*5)の採用:日本でも事ある毎に議論されますが時期尚早ということ。改正前は、同意書は登録官が考慮するが出所混同のおそれがあれば認めないというプラクティスでしたがこれで絶対的な力をもつことになりました。当事者同士がOKというのだから当事者自治に任すということですね。世界的にもこの動きでしょう。
8) 複数登録の統合:一出願一区分制度だったため、同一商標が複数の区分に存在する場合、更新時に統合できます。中国もそうでしたね。でも、前の登録条件(権利不要求とか)はそのまま適用されますので要注意。登録日が異なる場合はその内最も遅い登録日になりますのでこれも要注意。一元管理し易くなりますね。

*3「A部登録・B部登録」:識別性の強い商標がA部登録、識別性が弱い商標がB部登録と分かれていました。A部登録で7年経過すると「不可争性」が生じます(B部登録はなし)。出願人の意思でAB間出願変更することはできません。登録官がB部なら登録すると判断するとB部へ変更するのです。B部でも5年間の継続使用により識別性が生ずればA部登録へ再出願することができます。まだ、この制度が残っている国もあると思います。

*4「権利不要求制度」:商標を構成する文字中、識別性のない語やアルファベット一文字等がある場合、その部分だけ登録されても商標権の効力は及びません。例えば「Mac」という商標(Mが装飾化されている)の場合、登録官は通常の「M」の文字( a letter “M” in the subject trademark)は権利不要求にせよとの指令を出します。勿論異議を唱えることも可能ですが、登録官が求めているのは、通常のMであって、装飾化したMではないですので、第三者がMacのMを模倣した場合には不正競争で争うことができます。また、権利不要求は商標権の効力の問題ですから、第三者が全体として類似する商標を使用した場合にはパッシング・オフで攻めることが可能です。出願人から「この文字又は語を権利不要求」してくれと申し出ることはできません。

*5「同意書制度」:先後願違反で拒絶された場合、後願の出願人が先登録の権利者から本願を登録してもよいとの同意書を貰えば、登録官は本願を登録するという制度。全く同一商標であっても絶対的に認めるのがメキシコやスカンジナビア国です。同意書交付の場合、条件をつけることもあります。余り対価を求める場合は少ないです。
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05【マカオ】
ちょっと寄って遊んでいきますか?正式な名称は「マカオ特別行政区」。1999年12月20日に442年間続いたアジア最後のポルトガルの植民地が中国へ返還されました。

主だった産業もなし、ほんどはホテル業、旅行業でカジノ産業がGDPの40%。日本は第3位の輸入国で産品も綿織物、繊維糸、ニット等の外衣等でも年間2.5〜3億円いっています。

ポルトガルの植民地の時代は、ポルトガルの商標権の効力が及び別段ポルトガル登録の確認登録の手続きは不要でした。現在は、中国商標権も及びませんので、単独に経済部に出願する必要があります。ニース協定の8版にやっと加盟したので国際分類です。ポルトガルでやっかいだった「5年宣誓書」の提出も承継されていません。一出願多区分か実体審査の詳細は新法の情報が入り次第アップします。

香港で時間をとったので、次は中国へ飛びましょう。

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06【中国】
ニーハオ!まず、知らなければならないのが、当初中国では商標はそもそも「生産標(販売標)」であって、製造・販売会社しか出願できない(第6条:国が登録商標を使用すべきことを定めた商品は、必ず商標登録を受けなければならず、登録の許可を受けてない場合は市場で販売不可)とされていました。現在は販売標の意味合いは薄れましたが第6条のような規定は依然存在します。

しかし、2001年12月の改正で個人が出願できるようになってから出願件数が急増しました。当初、1983年3月1日に商標法が施行されるということで、「それ、中国特需かぁ!」と各事務所は興奮したものですが、残念ながら1996年のCTMのような人気はなかったのが事実です。当時の中国が今日日のような生産基地となる状況でもなかったし予想もしなかったし、当初の中国商標法は、わかりづらい自国分類(サブクラス)から選択する特別なもので、中国商標局(国家工商管理局商標局-北京)自体審査プラクティスの方法が右も左もわからないで出発したような塩梅でした。誰が、現在の「出願数世界最多」(年間出願数約70万件-10%がマドプロ経由:今現在2005年出願を審査中している有様で初審査定まで3年以上かかる)になることを予想したでしょうか。それに正比例して、中国の発展振りを伺い知ることができますね

中国商標法もそれから1993年時に「商標法実施細則」とともに改正され、商標出願の審査は次のような流れになっています:
出願→受理通知(これが遅いんだなぁ。3ヶ月後位にくるのでその前に補正指令がくることもあるので驚く「えっ何?」)→補正通知(実体審査ではなく商品・役務の記載不明等)→実体審査→でやっと、初審査定→(拒絶不服なら)再審請求(review)→(拒絶なしなら)公告→(異議申立3ヶ月)→登録となります。

ここで、注意すべきは、再審請求制度は商標局でなく「商標評審委員会(TRAB)」が行うのですが、現地代理人はこれを「review」と呼んでいます。審判(appeal)でもなく審査機関は異なりますが日本でいう「意見書」に相当します。これがまた時間がかかるんだなぁ。現在約4年くらいかかるので、例えば引用拒絶の場合、引用商標に対して異議申立や無効審判すれば結果は約3年以内なので、その結果待ちということも可能です。審査官の裁量で待ってくれることはないですが。それと、この再審請求期間は15日と短いですので(現地代理人が自動的に30日延期するのが通常です)その点注意が必要です

それと、出願の際の指定商品は10個以上ですと1個につき公費がUS$12かかりますから注意。これも、10年位前ある電気メーカーが社標出願の際指定商品を100個以上指定したのがきっかけでした。まあ、商標局としては公費が儲かりますが。公費がかかるといえば、まだ一出願一区分制度ですから。指定商品1個公費いくらですから、当然表記は上位概念は不可です。中国はサブクラス制度を採用していますので、英語から、類から引ける「類似商品及び役務区分表」という(日本でいう類似商品・役務審査基準が約¥5,000で手に入りますのでお手元に置かれては如何でしょうか。手配してくれる現地代理人がおわかりにならなければ以下のメルアドに連絡して下さい。また、医薬品に関する商標出願の際は、日本厚生省の許可書写しが必要ですからこれも注意して下さいね。

なお、出願の際出願人名を中国語で標記する必要があります。これは登録証にも記載されます。だからといって、そんなに厳密ではないですからご安心を。ご自分の会社の名称が漢字で「伊藤販売株式会社」なら、「伊藤販売」が簡体字になり「株式会社」が「股イ分有限公司」になる以外問題ないですが、英文字やカタカナの場合は音訳でも観念からでも自由に選べます。音訳の場合は現地代理人に中国語の意味合い上からも良い中国語を選んで貰うのが懸命でしょう。

よく質問があるのですが、中国商標権は香港及びマカオには及びませんから。返還後商標制度を含めた資本主義経済体制は50年間現状維持です。

最後に、中国は漢字国ですから、やっかいな問題があります。現地審査基準では、漢字、平仮名、カタカナ、アルファベット、それに漢字の発音(ピンインといいます)は相互に非類似とされています。しかし、この1年以内に、日本で行われた中国のA弁護士の講演を聴いたとき、「ピンインが同じでも漢字が異なれば非類似」と教わりましたが、B弁護士の講演のときは「類似」と教わりました??このことは、調査対象も注意しなければなりません。

あと、残念ながら中国と言えば「偽物(模造品)」です。儲け主義の事務所では、1970年代は「台湾で20年食える」と言っていましたが、1990年代後半からは「中国で20年食える」と目論でいます。対応策は、行政による(AIC=工商行政管理局、市、県、省、国家やTBS=質量技術監督局)、裁判による方法がありますが、通常は簡便な前者によります。税関の登録も可能で水際で差止めが可能です。審査においても模倣品対策においても、貴社の商標が著名ならば「馳名(ちめい)商標」で保護しておくことも一案です。かつては、外国著名商標しか登録できませんでしたが、1996年国家工商行政管理総局は「著名商標の認定及び管理に関する暫定規則」(96年規則)を改正し、2003年には外国著名商標も同様に保護することにしました(2003年規則)ので、現在では日本企業の著名社標が複数登録されています

中国については、もっともっと沢山の話があるのですが、中国だけで1テーマ終わってしまいますので、最後に20数年の中国商標実務の感想を述べますと、世界条約加盟のため国内整備をしていますが、現場の審査が今一つ確実性がない(審査基準が徹底されていない)という感じがします。例えば、コンドーム(中国語では「安全套」)に「中央一套」という商標を出願したところ、これがテレビ局「中央電台の1チャンネル(「中央一套)と呼ばれている)と同一であったため、この出願商標に対して疑問をいだき、商標局がどのような判断をするのか話題になっている記事が多くみられました。結局、この商標は社会的に影響を与えるとして登録が拒絶されました。このように、中国の審査判断基準はいまだ明確ではなく世論やその他の意見に左右されるように思えます。

しかし、模倣品が多い現在、中国で製造・販売していないからといって、中国での商標問題に無関係でいられるとは思いません。中国で製造し即無商標で梱包し全品日本へ輸出でも「商標の使用」に該当すると判断されているのがいい例です。また、中国以外の展示会に出品された製品や中国以外で製造・販売されている模倣品が中国国内で製造され第三国へ輸出されている例も多々あります。ですから、可能ならば商標権を取得し簡便な方法で防御しておくことが望ましいと考えています。

中国の審査実務でわからないことが多いです。多数寄せられる質問中代表的なものを挙げれば現行審査基準が変わらなければ次のようになります:
・日本の漢字からなる商標は、中国語の簡体字にすべきか?→繁体字でもいいのですが、現地代理人のアドバイスだと、若者が繁体字を読めなくなるので現在使用の簡体字にすべき。
・「A+B」の横書きからなる商標を実際使用には二段併記で登録商標に使用になるか?→ならない。この点厳しいので現実に使用する態様で登録するか、各要素別々に登録して任意の組み合わせで使用するのが適当。
・指定商品中普通名称が入っている場合、それに限定する必要あるか?→原則あり。また、その他の商品につき品質誤認の問題がありますが、現実の審査でそのような指摘があったことがありません。(単なる担当審査官の怠慢かも?) その他、色々なご質問があると思いますので、下記のメルアドからご質問下さい。出来る限りお答えします。

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07【シンガポール】
この国も英連邦の一員です(英法系については04香港*1参照)。国の成立ちとしてマレーシア連邦の一州であり1961年に独立したことは余り知られていないのではないでしょう。

旧法時代でも、ブランチオフィスガあったのでよく研修に行きましたが、香港同様英国判例の勉強をしたのを覚えています。また、記憶でも特に変わった制度はありませんでしたね。ただ、局通知などが発せられた時にはとにかく文書による証拠(宣誓書の形式=Statutory Declaration)を提出しました。混同が生じていないこと、使用・販売・宣伝広告実績等の書証が登録官を説得するのに有効です。これは現在でも同じです。出願商標に英語以外の語がある場合の意味についても宣誓書を要求されます。

日本との関係も良好であるし、輸入対象国として日本は、マレーシア、米国についで第三位で、半導体、事務用機器、通信機器等が輸入対象品ですので、この範囲の製品については特に商標登録の取得は必須です。

英国の1994年商標法(英法系を採用している国々における筆頭規範)を手本にして1999年1月15日に新法が施行され、A部・B部登録の廃止、小売の役務の採用、一出願他区分制度の採用(但し、運用は区分毎)等の改正がありましたが、2007年7月2日より2007年改正法が施行されています。主な改正点は:
1) 多区分出願:1クラスでも拒絶理由が発せられると日本と同様出願全体が拒絶されますのでご注意を。
2) 旧法時代の一出願一区分は登録を統一することは不可。
3) 分割制度の採用:一出願多区分制度を補完することを目的とした出願方法です。しかし、シンガポールを指定国とする国際登録については分割不可です。日本と同じです。
4) 従来は登録商標のみライセンスが可能でしたが、出願中の商標についても可能。施行前に出願されたものも可能です。
5) とりわけ期限徒過のような手続き上のミスの救済方法:適用条件として、1)失効後6ヶ月以内に権利回復の申請、2)不備だった書類(手続き)を補完し、それを添付して権利回復申請する、3)期限徒過が意図的ではないこと

「商標法に関するシンガポール条約(Singapore Treaty on the Law of Trademarks)」が現在8カ国が締結、10カ国になると発行します。商標出願手続きの国際調和及び簡素化のための条約としては既に商標法条約(Treaty of the Law of Trademarks=TLT)がありますが、シンガポール条約はそれを基本的ベースとして、更に電子出願への対応、手続期間徒過の救済措置、ライセンス等の登録手続きの共通化等を加えたもので期待されています。あと2カ国。アメリカは2008年10月1日に批准。日本はまだ?

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